愛の形

　心理カウンセラーの役割として、いろいろ後悔している人に出会います。

　とくに大切な人を亡くしてしまうと「いろいろ心残りがある」と多くの人が苦しそうに語ります。生きている間に「あれもしてやれば良かった」「このことにも後悔がある」と言われるのです。

　元気な時に旅行に連れて行ってあげればよかった。 あの時に病室で一人にしなければよかった。 もっと話を聴いてあげればよかった。 「ありがとう」を伝えないまま亡くなってしまった。

　「今は何のために生きているのでしょう…今日は誰のために生きるのか？ 頭が真っ白なまま今は過ごしています…大切な時にオロオロするだけで、何もしてあげられなかった」

　僕は思います。身近で大切な人であればあるほど、人は慌てふためき何もできなかった自分自身を責めてしまいます。

　ただ大切な人を失った多くの人が「心残りがある」と口々に言うならば、僕は完璧な関わりなどないのだと思っています。僕たちは100点の看病、介護の関わり方があると思っているから、その100点満点を基準にして自分を減点します。その減点から自分を責めて苦しむのです。愛する人間であればオロオロして当然です。 また、ロボットではないから人は「愛する人の突然の出来事」にオロオロするのです。だからオロオロするのも愛の形なのだと思います。

　また、旅立った人も、残していく人に「自分を責めないでほしい」と願うのも愛の形だと思っています。

　だからもし、あなたが「何かで」うろたえる時には、思い出してほしい。

　オロオロするのも「愛の形」だと思って、自分自身をも受け入れて下さい。

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