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固い服…

人はそれぞれ心に服を着ている。

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素直な子どもの服、優しい母親の服、強面の上司の服、テキパキとしたOLの服、良い人の服、甘えたさんの服など、たくさんの服がそれぞれの心のクローゼットにはかけられています。

 幼い子どもの頃は、この洋服の着替えは簡単ではありません。「素直な子ども」という名の服は、周囲から微笑んでもらえるし、頭をなでてもらえて心地がよいから。

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 でも、大人になるにつれ、それが段々、窮屈に感じてくる。そこで、ある時期にドラマチックに、強引に服を着替えようとする。それが「反抗期」と言われるものです。

 自分の好きなように生き、ケンカの強さと、自由を誇りとしていた学生が、会社に入ってからは、直属の上司に、愛想笑いしている自分自身に気づき「自分らしくない」と落ち込んだりする。

 ある女性の相談者が「私は自分に自信もなく、明るくもなく、すぐに落ち込んでしまうのに、周囲からは『明るく、いつもニコニコしていて元気だね』と言われて、自分を作っているようで、嘘をついているようでイヤだ」という。

  「私は、そんなに明るい人ではないのに、本当の私を周囲の人は知らないのだ」と悲しくなるとも語った。

 僕は、彼女は幼い時に、周囲から期待された「~らしさ」に応えてきたので、自分自身が、誰かに高く期待されると無意識で、何かにまた縛られるようで不安になるのだと思う。

叫び

 何かしてもらった時に「ありがとう」ではなく「すいません」と言ってしまう人にも、このような「申し訳ない傾向」があります。

 僕自身にも以前はそんな傾向がありました。でも、心理学を学んでいくうちに、人は、それぞれの仮面(ペルソナ)をつけるのだと学びました。

 健康な大人は、自分で、それを付け替えることができるのです。

 そして、他人が、こちらを「どう見ても」それは自分の一部でしかないのです。相手からは「ニコニコしている、明るい人」と一部を見られて、そう評価されただけの話なのです。それは相手の見たいように見た見方なのです。

 まして、会社とプライベートでは、心の洋服をTPOに合わせて着替えている人は、海辺の砂の数ほど存在しています。

 それに、その女性を誰かが24時間、365日そばにいて調査した結果ではないのです。たとえ、24時間、365日でも、たかだか一年です。人は数ヶ月もあれば性格は変化します。他人から見た、自分のある側面の一部でしかないのです。

 また、その人が見た見方を、こちらが受け取るか、受け取らないかは、こちら次第なのです。さらに、受け取って落ち込むか、落ち込まないかも、こちらの選択権にあります。

 その女性は「『ありのまま』の自分を知りたいのです。また、知って欲しいのです」と続けた。「ありのままの自分」は、都市伝説のようなものです。

 僕は決して完全に「ありのままの自分」であってはいけないと思っています。大人は適度にペルソナを付け替えないとならないからです。

 イヤな人に「イヤだなぁ」と、露骨に態度に出せば、周囲にも気をつかわせます。やりたくない仕事に「俺、イヤっす!」と言ったら「明日から会社に来なくていいよ」と上司からリストラへのイエローカードを渡されます。

 「講座したくないから」と、突然に予告なしに、僕が休講にしたら社会からの信用を失います。

 この世界で唯一の「ありのままの存在」は、赤ちゃんです。

 泣きたいから泣いた、ウンコをしたいからした、ミルクが欲しくないからイヤイヤと首を振った、それが「ありのまま」の状態です。

 相談者は、ニコニコ笑って、明るい人を、会社や社交では演じられているのです。立派なものです。

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もし、彼女が会社でイライラし、陰気な人を演じているなら、僕もその彼女に、洋服の付け替えを、積極的にお勧めしますが…(笑)

 僕たちには気が弱いとか、心配性とかの基本性格はあります。でも、現実社会の性格は洋服の付け替えなのです。

 今、人とうまくいかないなら、心の洋服の着替えが必要なのです。「私はこれが性格だから」と言う人は、固い服を着ている人なのです。

 私たちは、ファッションや言葉使い、日常の立ち居振る舞いまで、誰かの真似なのです。その真似(モデリング)で、今の私たちは出来ています。

 ステキなモデルがないなら、家の中でネットの情報や自己啓発の本なんかに頼らないで、外のリアルな世界に飛び出すべきです。ステキなモデルを探して!

 現代はSNS、ブログ、Facebook、Lineなどの文書の中では、とても雄弁なのに、直接に会ってみたら、目も合わさない、会話にも魅力を感じない人が増えています。

 ネット空間の中に社会があるのではなく、今もなお、最終的な決め手は、リアルな世界の人間関係で、人は出逢い、成功するのです。

 いつも「ありのままの自分」にこだわらないで、その瞬間、瞬間に最高の自分を着せ替えしましょう。

 そして、しっかり社会生活し、演じ続けている自分に、時よりセルフ・ハグしてヨシヨシしてあげてください。

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「よくガンバっているなぁ

合格

」と自分をねぎらって。

 なぜなら、自分が自分の最高のパートナーなのだから。

ラブラブ

 「ありのまま」になることを求めているのは、心が子どもです。

 会社で演じすぎて、家では演じることを手放した横暴な夫に、泣いている妻が、僕のカウンセリングルームに多く来室されます。そうなのです。愛する人にも多少なりとも演じることが必要になります。ガンバる夫の役割も…

 お父さんが子どもと「遊びたくないから」と、家でゴロゴロしていたらどうなりますか? そう、このお父さんは、ありのままの子どもです。「腹が立つから」と、子どもを折檻する母親も、自分の幼いありのままの心に忠実なのです。

 決して忘れないで下さい。ステキな大人は、生まれつきではありません。僕たちはステキな大人を演じて生きて行くのです。

 そして、それがいつか、ありのままの自分になれば、その人生は成功なのです。

 成功を祈ります!

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